
管理栄養士として、2千人以上に栄養指導をしてきた高杉保美さん。
今はすらりとしているが、「元デブ」と自称するとおり、太り気味であることに悩む日々があったという。当時は、厳しいダイエットやエクササイズを試みて、一時的にやせても体調を崩してはリバウンドの繰り返し。試行錯誤のなか、食べることの重要性に気づき、その道を探究するようになった。
その後、半年で15kg減の健康的なダイエットに成功。以来、適正体重をキープしているが、「お酒もコンビニ飯も大好きでずぼら」と自認。ポイントさえおさえておけば、ダイエットは無理なくできるそうで、その方法を「ずるやせダイエット」と名付け、著書も出している。
高杉さんの著書『
ずぼら管理栄養士が教える ずるやせダイエット
』
「3食おいしく食べてOK」「きつい運動もしません」など、最近のダイエット本ではなかなか見ない「ゆるめ」のフレーズが目白押し。はたしてどんなダイエットなのか、その一端を紹介しよう。
糖質制限は「ゆる~く」でいい
「ずるやせダイエット」の基本は、4つのメソッドから成り立っている。その4つとは「ゆる~く糖質セーブ」「太らない油をチョイス」「何はなくともたんぱく質!」「食物繊維をプラス」。
最初の「ゆる~く糖質セーブ」は、一部で流行する「断糖」のような極端に糖質を減らすやり方でなく、「ちょうどいい量と質」の糖質は摂るというもの。
「糖質は極端に減らしてしまうと、食物繊維不足による便秘や低糖質による頭痛などさまざまな不調の元に。1日に必要な分量をしっかり食べ、無理なくコントロールすることがベストです」と、高杉さんは糖質の必要性について述べている。
具体的には、1日120gを上限とし、朝と昼はそれぞれ50gに。また、血糖値の上がりにくい低GI食品や精製度の低い食品を選ぶ。例えば、白米を玄米に、白い食パンを低糖質パンに切り替える。また、低糖質麺もおすすめで、以下のレシピが載っている。
●「スタミナ低糖質ヌードル」
【材料(2人分)】
・豚ロース薄切り:200g
・キムチ:100g
・長ネギ:お好みの量
・白だし:大さじ2
・低糖質麺:2袋
【作り方】
1 豚肉を食べやすい大きさに切る。お好みの量の長ネギを斜め薄切りにする。
2 耐熱皿に豚肉と白だしを一緒に入れて電子レンジ(600W)で約1分半加熱。
3 低糖質麺の水を切って器に盛り、加熱した豚肉とキムチ、長ネギをのせる。
「豚肉に含まれるビタミンB1とキムチや長ネギに含まれるアリシンには疲労回復・糖質代謝アップ効果」があるとのことで、お疲れの日に特におすすめのメニュー。サラダを一品加えれば、4つめのメソッド「食物繊維をプラス」にもなる。
コンビニ飯も大活用しよう
「コンビニで売っている食品はダイエットに不向き」というイメージは過去のもの。高杉さんは、「コンビニを頼っていいのです」と言う。
例として挙がるのは、サンドイッチ、そば、サラダチキン、焼き魚、しょうが焼きなど。さらに、最近店頭で増えてきた「低糖質」のチョコやスナックも問題なしとか。
「パッケージの栄養成分表示をチェックして、糖質が10g以下であればOK。チョコレートなら、アーモンド入りを選べば糖質量も抑えつつ、良質な油であるオレイン酸も摂れます」
もっとも、コンビニにある食品なら何でもよいわけではない。高杉さんは、「これは選ばない! 太るコンビニ飯」として挙げるのが、弁当、丼、菓子パン、揚げ物などの、いわゆるガッツリ系。糖質過多で高カロリー、悪い油のトランス脂肪酸が多いといった理由からだ。
このほか、ダイエットによさそうに思えるフルーツゼリーもNG。これについては、次のように注意を促している。
「一見低カロリーに見えますが、砂糖で煮たカットフルーツが入っているため糖質が高め。人工甘味料はクセになりやすいので要注意」
パウチタイプの容器でおなじみのゼリー飲料も、「果糖ブドウ糖液糖や砂糖が含まれるものは要注意」。選ぶなら、「ゼロカロリータイプやビタミン、ミネラル、アミノ酸が補えるもの」に。
コツをおさえて外食も楽しもう
「ずるやせダイエット」では、外食もまったく問題なし。ただし、守っておきたいポイントがある。和食であれば、ごはんは「少なめ」でオーダー、主菜から食べ始める、甘い味付けは避けるというふうに。
これがイタリアンだと、まずは魚介類に注目。「低脂肪でたんぱく質が取れ、必須脂肪酸の働きでコレステロール値を下げてくれる」という効果があるからだ。また、「トマト×オリーブオイルが最強」とのことで、アクアパッツアがおすすめの1つに。
「メインの材料となる白身魚はたんぱく質が豊富で低脂肪。ビタミンやリコピンが豊富なトマトやオリーブオイルがその吸収を助けてくれ、まさにいいことづくめ。また脇役のアサリなどからもミネラルを摂取できます」
また、外食先は、カジュアルなファミレスでもOK。ただし、糖質高めの甘いメニューが多いので、その点には注意とのことだ。
飲酒・おつまみは楽しんでもかまわない
ダイエット中にセーブすべきものとして、一番にやり玉に上げられるのは、アルコール飲料とおつまみだろう。でも、「ずるやせダイエット」では、飲酒・おつまみは楽しんでもかまわない。
もちろん、若干のルールはある。その1つが、ビール、ワイン、日本酒は控えるというもの。これらに共通するのは糖質の多さ。なので、カクテルや梅酒もご法度だ。その代わり、ビール党なら糖質オフビールという手があるし、ウイスキーや焼酎のような糖質をほとんど含まない蒸留酒ならよい。よいと言っても、アルコールには代謝が落ちて太りやすい体質にする作用があるので、ほどほどに。
おすすめのおつまみもレシピ付きで、いくつか紹介されている。その1つが「鶏胸肉のスイートチリソース炒め」。
【材料(2人分)】
・鶏胸肉:1枚
・オリーブオイル:小さじ2
・スイートチリソース:大さじ3
【作り方】
1 鶏胸肉を一口大にカットする。
2 カットした鶏胸肉を、オリーブオイルをひいて熱したフライパンで火が通るまで約7~8分焼く。
3 スイートチリソースを加えて全体にからまるように約1分炒める。
おつまみの良し悪しは、アルコールを体内で分解するのに必要となる栄養素が十分補えるかどうか。その点、鶏胸肉は「低脂質・高たんぱく・ビタミンB6も豊富」と、高杉さんは説く。スイートチリソースは糖質がやや多めなので、何か一品プラスするなら野菜がベストだとも。
昨今の健康ブームのなか、食事制限や運動習慣をかえってストレスに感じ、挫折してしまう人は多い。でも、「ずるやせダイエット」なら、誰でも気楽に続けられて効果も大。本格的にダイエットを考えているなら、やってみてはいかが?
高杉保美さん プロフィール
管理栄養士。業界最大手ジムにて2千人以上に栄養指導してきた酒飲み・元デブ管理栄養士。重力に負けないカラダづくりを食事から徹底的にサポート。ダイエットの敵であるストレスに負けない栄養指導をライフスタイル別・体質別に行う。自身も管理栄養士資格を取得後に半年間でマイナス15kgのダイエットに成功している。著書に『やセレクション ~これを選んで食べたら、15kgやせました~」(主婦の友社)、共著に『ラクうまで続けたくなる! オートミール朝ごはんレシピ』(SDP)がある。
株式会社SDM (スターダストマーケティング) (s-d-m.jp)
料理イラスト/今井夏子
文/鈴木拓也(フリーライター)