Fichier de travail (INPUT) : ./CONTEXTES/espace.txt
Encodage utilisé (INPUT) : UTF-8
Forme recherchée : 家庭|家族|(F|f)am(í|i)lia(s?)
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Ligne n°5 : ... その 一- Ligne n°6 : 八 年 まえ に 亡 ( な ) く なっ た 、 あの 有名 な 洋画 の 大家 、 入江 新之助 氏 の 遺家族 は 皆 すこし 変っ て いる よう で ある 。 いや 、 変 調子 という の で は なく 、 案外 その
Ligne n°7 : よう な 暮し かた の ほう が 正しい ので 、 かえって 私 ども 一般 の 家庭 の ほう こそ 変 調子 に なっ て いる の かも 知れ ない が 、 とにかく 、 入江 の 家 の 空気 は 、 普通 の 家 の ...
Ligne n°6 : ... 八 年 まえ に 亡 ( な ) く なっ た 、 あの 有名 な 洋画 の 大家 、 入江 新之助 氏 の 遺家族 は 皆 すこし 変っ て いる よう で ある 。 いや 、 変 調子 という の で は なく 、 案外 その- Ligne n°7 : よう な 暮し かた の ほう が 正しい ので 、 かえって 私 ども 一般 の 家庭 の ほう こそ 変 調子 に なっ て いる の かも 知れ ない が 、 とにかく 、 入江 の 家 の 空気 は 、 普通 の 家 の
Ligne n°8 : それ と は 少し 違っ て いる よう で ある 。 この 家庭 の 空気 から 暗示 を 得 て 、 私 は 、 よほど 前 に 一つ の 短篇 小説 を 創っ て み た 事 が ある 。 私 は 不 流行 の 作家 な ので 、 創 ...
Ligne n°7 : ... よう な 暮し かた の ほう が 正しい ので 、 かえって 私 ども 一般 の 家庭 の ほう こそ 変 調子 に なっ て いる の かも 知れ ない が 、 とにかく 、 入江 の 家 の 空気 は 、 普通 の 家 の- Ligne n°8 : それ と は 少し 違っ て いる よう で ある 。 この 家庭 の 空気 から 暗示 を 得 て 、 私 は 、 よほど 前 に 一つ の 短篇 小説 を 創っ て み た 事 が ある 。 私 は 不 流行 の 作家 な ので 、 創
Ligne n°9 : っ た 作品 を 、 すぐ に 雑誌 に 載せ て もらう 事 も 出来 ず 、 その 短篇 小説 も 永い 間 、 私 の 机 の 引き出し の 底 に しまわ れ た まま で あっ た の で ある 。 その他 に も 、 私 に は ...
Ligne n°16 : ... 作者 の 愛着 は 、 また 自 ( おの ず か ) ら 別 の もの らしく 、 私 は 時折 、 その 甘ったるい 創作 集 を 、 こっそり 机上 に 開い て 読ん で いる 事 も ある の で ある 。 その 創作 集- Ligne n°17 : の 中 でも 、 最も 軽薄 で 、 しかも 一 ばん 作者 に 愛さ れ て いる 作品 は 、 すなわち 、 冒頭 に 於 ( お ) い て 述べ た 入江 新之助 氏 の 遺家族 から 暗示 を 得 た ところ の 短篇 小
Ligne n°18 : 説 で ある という わけ な の で ある 。 もと より 軽薄 な 、 たわい の 無い 小説 で は ある が 、 どういう わけ だ か 、 私 に は 忘れ られ ない 。 ...
Ligne n°53 : ... 末弟 は 、 十 八 歳 で ある 。 ことし 一 高 の 、 理科 甲 類 に 入学 し た ばかり で ある 。 高等 学校 へ はいっ て から 、 かれ の 態度 が 俄然 ( がぜん ) かわっ た 。 兄たち 、 姉 た- Ligne n°54 : ち に は 、 それ が 可 笑 ( おか ) しく て なら ない 。 けれども 末弟 は 、 大 まじめ で ある 。 家庭 内 の どんな ささやか な 紛争 に でも 、 必ず 末弟 は 、 ぬっと 顔 を 出し 、 た の
Ligne n°55 : まれ も せ ぬ のに 思案 深 げ に 審判 を 下し て 、 これ に は 、 母 を はじめ 一 家中 、 閉口 し て いる 。 いきおい 末弟 は 一家 中 から 敬遠 の 形 で ある 。 末弟 に は 、 それ が 不満 で ...
Ligne n°61 : ... 以上 が 、 その 短篇 小説 の 冒頭 の 文章 で あっ て 、 それから 、 ささやか な 事件 が 、 わずか に 展開 する という 仕組み に なっ て い た の で ある が 、 それ は 、 もとより た- Ligne n°62 : わい の 無い 作品 で あっ た 事 は 前 に も 述べ た 。 私 の 愛着 は 、 その 作品 に対して より も 、 その 作中 の 家族 に対して の ほう が 強い の で ある 。 私 は 、 あの 家庭 全体 を 好
- Ligne n°62 : わい の 無い 作品 で あっ た 事 は 前 に も 述べ た 。 私 の 愛着 は 、 その 作品 に対して より も 、 その 作中 の 家族 に対して の ほう が 強い の で ある 。 私 は 、 あの 家庭 全体 を 好
Ligne n°63 : き で あっ た 。 たしかに 、 実在 の 家庭 で あっ た 。 すなわち 、 故人 、 入江 新之助 氏 の 遺家族 の スケッチ に 違い ない の で ある 。 もっとも 、 それ は 必ずしも 事実 その ま ...
Ligne n°62 : ... わい の 無い 作品 で あっ た 事 は 前 に も 述べ た 。 私 の 愛着 は 、 その 作品 に対して より も 、 その 作中 の 家族 に対して の ほう が 強い の で ある 。 私 は 、 あの 家庭 全体 を 好- Ligne n°63 : き で あっ た 。 たしかに 、 実在 の 家庭 で あっ た 。 すなわち 、 故人 、 入江 新之助 氏 の 遺家族 の スケッチ に 違い ない の で ある 。 もっとも 、 それ は 必ずしも 事実 その ま
- Ligne n°63 : き で あっ た 。 たしかに 、 実在 の 家庭 で あっ た 。 すなわち 、 故人 、 入江 新之助 氏 の 遺家族 の スケッチ に 違い ない の で ある 。 もっとも 、 それ は 必ずしも 事実 その ま
Ligne n°64 : ま の 叙述 で は なかっ た 。 大げさ な 言い かた で 、 自分 で も 少から ず 狼狽 ( ろうばい ) し ながら 申し上げる の で ある が 、 謂わ ば 、 詩 と 真実 以外 の もの は 、 適度 に 整 ...
Ligne n°64 : ... ま の 叙述 で は なかっ た 。 大げさ な 言い かた で 、 自分 で も 少から ず 狼狽 ( ろうばい ) し ながら 申し上げる の で ある が 、 謂わ ば 、 詩 と 真実 以外 の もの は 、 適度 に 整- Ligne n°65 : 理 し て 叙述 し た 、 という わけ な の で ある 。 ところどころ に 、 大 嘘 を さえ 、 まぜ て いる 。 けれども 、 大体 は 、 あの 入江 の 家庭 の 姿 を 、 写し た もの だ 。 一 毛 ( いち
Ligne n°66 : もう ) に 於い て 差異 は あっ て も 、 九牛 ( きゅう ぎゅう ) に 於い て は 、 リアル で ある という わけ な の だ 。 もっとも 私 は 、 あの 短篇 小説 に 於い て 、 兄妹 五 人 と 、 そ ...
Ligne n°84 : ... と 厭味 ( いや み ) を 言い出す 。 これ が 、 怺 ( こら ) え られ ぬ 楽しみ で ある 。 家 へ 帰る 時 に は 、 必ず 、 誰 か に 僅か な お 土産 ( みやげ ) を 買っ て 行く 。 やはり 、 気- Ligne n°85 : が ひける の で ある 。 このごろ は 、 めっきり 又 、 家族 の 御 機嫌 を 伺う よう に なっ た 。 勲章 を 発明 し た 。 メキシコ の 銀貨 に 穴 を あけ て 赤い 絹 紐 ( きぬ ひも ) を 通し
Ligne n°86 : 、 家族 に 於い て 、 その 一 週間 もっとも 功労 の あっ た もの に 、 之 ( これ ) を 贈呈 する という 案 で ある 。 誰 も 、 あまり 欲し がら なかっ た 。 その 勲章 を もらっ た が 最 ...
Ligne n°85 : ... が ひける の で ある 。 このごろ は 、 めっきり 又 、 家族 の 御 機嫌 を 伺う よう に なっ た 。 勲章 を 発明 し た 。 メキシコ の 銀貨 に 穴 を あけ て 赤い 絹 紐 ( きぬ ひも ) を 通し- Ligne n°86 : 、 家族 に 於い て 、 その 一 週間 もっとも 功労 の あっ た もの に 、 之 ( これ ) を 贈呈 する という 案 で ある 。 誰 も 、 あまり 欲し がら なかっ た 。 その 勲章 を もらっ た が 最
Ligne n°87 : 後 、 その 一 週間 は 、 家 に 在る とき 必ず 胸 に 吊り 下げ て い なけれ ば いけ ない という の で ある から 、 家族 ひとしく 閉口 し て いる 。 母 は 、 舅 ( しゅうと ) に 孝行 で あ ...
Ligne n°86 : ... 、 家族 に 於い て 、 その 一 週間 もっとも 功労 の あっ た もの に 、 之 ( これ ) を 贈呈 する という 案 で ある 。 誰 も 、 あまり 欲し がら なかっ た 。 その 勲章 を もらっ た が 最- Ligne n°87 : 後 、 その 一 週間 は 、 家 に 在る とき 必ず 胸 に 吊り 下げ て い なけれ ば いけ ない という の で ある から 、 家族 ひとしく 閉口 し て いる 。 母 は 、 舅 ( しゅうと ) に 孝行 で あ
Ligne n°88 : る から 、 それ を もらっ て も 、 ありがた そう な 顔 を し て 、 帯 の 上 に 、 それでも なるべく 目立た ない よう に 吊り 下げる 。 祖父 の 晩酌 の ビイル を 一 本 多く し た 時 に は ...
Ligne n°110 : ... 「 和夫 ( 末弟 の 名 ) じゃ ない か 。 」- Ligne n°111 : 傍 で 拝見 し て い た 家族 の もの が 、 どっと 笑い 出し た ので 、 祖母 は 覚醒 し た 。 それでも 、 まず 、 術 者 の 面目 は 、 保ち 得 た の で ある 。 とにかく 祖母 だけ は 、 術 に
Ligne n°112 : かかっ た の だ から 。 でも 、 あと で 真面目 な 長兄 が 、 おばあさん 、 本当に かかっ た の です か 、 と こっそり 心配 そう に 尋ね た とき 、 祖母 は 、 ふん と 笑っ て 、 かかる ...
Ligne n°113 : ... もの か ね 、 と 呟 ( つぶ や ) い た 。- Ligne n°114 : 以上 が 、 入江 家 の 人 たち 全部 の だいたい の 素描 で ある 。 もっと 、 くわしく 紹介 し たい の で ある が 、 いま は 、 それ より も 、 この 家族 全部 で 連作 し た 一つ の 可 成
Ligne n°115 : ( かな ) り 長い 「 小説 」 を 、 お知らせ し たい の で ある 。 入江 の 家 の 兄妹 たち は 、 みんな 、 多少 ずつ 文芸 の 趣味 を 持っ て いる 事 は 前 に も 言っ て 置い た 。 かれ ら は ...
Ligne n°401 : ... 病人 は 、 蒲団 を かぶっ た まま 、 返事 も し ない 。 母 は 、 途方 に 暮れ た 。 女中 の さ と が 、 朝食 の お 膳 を 捧 ( さ さ ) げ て 部屋 へ はいっ て 来 た 。 さ と は 、 十 三 の 時 か- Ligne n°402 : ら 、 この 入江 の 家 に 奉公 し て いる 。 沼津 辺 の 漁村 の 生れ で ある 。 ここ へ 来 て 、 もう 四 年 に も なる ので 、 家族 の ロマンチック の 気風 に すっかり 同化 し て いる 。 令
Ligne n°403 : 嬢 たち から 婦人 雑誌 を 借り て 、 仕事 の ひま ひま に 読ん で いる 。 昔 の 仇討 ( あ だ う ) ち 物語 を 、 最も 興奮 し て 読ん で いる 。 女 は 操 ( みさお ) が 第 一 、 という 言葉 ...
Ligne n°405 : ... ナイフ を 蔵 ( かく ) し て ある 。 懐剣 の つもり な の で ある 。 色 は 浅黒い けれど 、 小さく 引き しまっ た 顔 で ある 。 身なり も 清潔 に 、 きちんと し て いる 。 左 の 足 が 少- Ligne n°406 : し 悪く 、 こころ もち 引きずっ て 歩く 様子 も 、 かえって 可憐 で ある 。 入江 の 家族 全部 を 、 神さま か 何 か の よう に 尊敬 し て いる 。 れい の 祖父 の 銀貨 勲章 を も 、 眼 が
Ligne n°407 : くらむ 程 に 、 もったいなく 感じ て いる 。 長女 ほど の 学者 は 世界中 に い ない 、 次女 ほど の 美人 も 世界中 に い ない 、 と 固く 信じ て いる 。 けれども 、 とりわけ 、 病身 ...
Ligne n°492 : ... に 委 ( ゆ だ ) ねら れ た 。 次 の 選手 は 、 これ また 生意気 な 次女 で ある 。 あっと 一驚 さ せ ず ば 止 ( や ) ま ぬ 態 ( てい ) の 功名 心 に 燃え て 、 四 日 目 、 朝 から そわそわ- Ligne n°493 : し て い た 。 家族 そろっ て 朝 ごはん の 食卓 に つい た 時 に も 、 自分 だけ は 、 特に 、 パン と 牛乳 だけ で 軽く すませ た 。 家族 の ひと たち の 様 に 味噌汁 、 お 沢庵 ( たく あ
- Ligne n°493 : し て い た 。 家族 そろっ て 朝 ごはん の 食卓 に つい た 時 に も 、 自分 だけ は 、 特に 、 パン と 牛乳 だけ で 軽く すませ た 。 家族 の ひと たち の 様 に 味噌汁 、 お 沢庵 ( たく あ
Ligne n°494 : ん ) など の 現実 的 なる もの を 摂取 する なら ば 胃 腑 ( いふ ) も 濁っ て 、 空想 も 萎靡 ( いび ) する に 違い ない という 思惑 から で も あろ う か 。 食事 を すませ て から 応 ...