「文藝春秋」11月号の特選記事を公開します。(初公開 2019年10月17日)
「40代で15%、50代で16%の妻が不倫をしている」(2012年調べ)
こうした中高年の性生活の実態を調査によって明らかにしたのは、このほど『 中高年のための性生活の知恵 』(アチーブメント出版)という本を刊行した日本性科学会の下部組織にあたる「セクシュアリティ研究会」だ。代表を務める荒木乳根子氏(臨床心理士、セックス・カウンセラー)は、こう述べる。

■男女ともに“婚外セックス”が増加している
「実際の質問で問うたのは、『配偶者以外の異性との親密な関係の有無』なので、そこには『精神的愛情』や『売買春』も含まれ、『不倫』と若干ずれる部分もありますが、2000年時点では、40代で9%、50代で4%でしたから、妻たちの婚外セックスがいかに活性化しているかが分かります。
家庭内でセックスレスが進み、『女性として見られていない』寂しさや空しさを埋める女性としての承認欲求が婚外セックスへ向かわせていると考えられます。
男性も同じ傾向で、2000年と2012年を比較すると、『婚外で異性と親密な関係を持っている人』の割合は、40代は13%から38%、50代は14%から32%と2倍以上に増加しています。こういう現実を前にして、単に不倫を善悪だけで裁くことで問題が解決するとは思えません」
■本当に「性生活」はなくてもよいのか?
不倫が増加している理由の一つは、家庭内でのセックスレス化だ。荒木氏はこう述べる。