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本日公開。27年ぶりに「ロボコップ」が濃ゆーくなって帰ってきた

2014年3月14日 10時00分

ライター情報:小野憲史

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黒いマスクに赤いバイザー。人かロボットか、新生ロボコップ。
(C)2013 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. and Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

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シルバー・スーツがブラック・スーツとなり、1987年の劇場公開(米国)から27年ぶりにスクリーンに復帰する新生「ロボコップ」。オリジナル版は103分で、リブート版は117分です。もっとも14分間の延長とは思えないほど、さまざまな要素がてんこ盛りになっていて、非常に濃かったですね。

すでにネット上では「アイアンマンとバットマンを融合させたよう」と、スーツ・デザインをめぐって賛否両論が見られます。ぶっちゃけ筆者も、いやーな予感がしていました。しかし、試写を見てすっかり、その「濃さ」にやられた次第。第一印象でスルーしちゃうのは、かなーり勿体ないです。

ただ最初に断っておくと「あの鈍重に動く不格好さがラブ」「ゴア(残虐)描写なくしてロボコップなし」「殉職したのに、生前の記憶に悩まされるサイバーパンクなところがツボ」という方々は、アレって思うかもしれません。

しかし「ロボコップ」の本質はそこにはない! とあえて言ってしまいましょう。「キャラクター性」「アクション性」「社会風刺性」「ドラマ性」のどれをとっても水準以上。「バットマン ビギンズ」「スター・トレック」など、ハリウッドで流行のリブート物の中でも、かなりの完成度となっています。

ストーリーはオリジナル版をトレースしつつも、現代風に新解釈。西暦2028年(わずか14年後!)、世界各地の軍事ロボット化が進む一方で、アメリカではロボット配備禁止法が施行され、市場独占をもくろむ大企業オムニコープ社は法改正を画策。瀕死の重傷(死んでない!)を負ったデトロイト市警のアレックス・マーフィを機械の体で「職場復帰」させ、世論を扇動しようとするが・・・という内容です。

「ロボコップ」のキャラクター性、それは「半分機械・半分人間」という「異形性」にあります。いくら外観がアメコミヒーロー的でも、周囲から浮きまくっているロボコップ。自由と平等を建前とするアメリカ社会で、ヒーローが一番のマイノリティという位置づけが明瞭です。自らの人間性に悩むマーフィや、「生みの親」から邪険にされていくフランケンシュタイン性も、より強く打ち出されています。

ここがぶれてないので、バイクに乗ろうがスピーディに活劇しようが、そんなに違和感がありません。コミック・アニメ・ゲームとメディアミックス展開した本シリーズだけに、アクションシーンも過去作品からの引用が満載。ロボット兵と模擬戦闘を行うシーンでは、思わずFPS(一人称視点シューティング)を想像してしまいました。

ライター情報

小野憲史

主夫ときどきゲームジャーナリスト。趣味でNPO法人IGDA日本代表

URL:Twitter:@kono3478

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