先日は「気が滅入るニュースを多めに読ませたらやっぱりユーザーの気分も落ち込みました!」という無断感情操作実験で物議を醸した Facebook が、ちょっとした新機能の追加を検討しています。一部のユーザーが報告しているのは、米国の嘘ニュースサイト the ONION の記事に、自動で「Satire」(風刺)タグが加わるようになったこと。
The ONION は米国を代表する嘘ニュース媒体。もともとは大学生当時の創業者コンビが大学や地元向けに発行していた紙のタブロイド紙でしたが、現在では大手ニュースネットワークの体裁で大真面目に風刺的なジョーク記事や動画をウェブ配信する商業媒体として定着しています。


(Satireタグが見える関連記事表示)

いつのまにか現れた Satire タグについて、リンク先の Ars Technica が Facebook に照会したところによれば、この機能は一部のユーザーに対して小規模なテストを実施している段階であり、風刺記事がニュースフィードの関連記事として現れる場合にのみ表示されるとのこと。

Facebook がラベリングを検討中の The ONION 記事がどんなものかといえば、先日更新されたばかりの嘘ニュース動画 New Nike Running App Tells You What You're Really Running From はこんな感じ。



(Run には「走る」のほか逃走するの意味もあることから)、走った距離だけでなく走る理由まで分析してくれる、本当はどんな実存的不安から逃走しているのか教えるアプリ、というネタ。

鼻で笑う程度の冗談ですが、それらしいリストバンドの画面に「友だちがいない」「愛情のない結婚生活」といったランの理由が表示されたり、Bluetoothヘッドホンと同期させると罪悪感や恐怖を煽る「激励」メッセージを囁くCM風の演出、ナイキの開発者を名のる人物が「われわれは走るのがいかに辛く退屈で報われない行為か知っています」と堂々と語るなど、体裁としては本格的なテレビニュースネットワークそのものです。

The ONION の「報道」は見出しだけで笑わせるような、風刺の対象が分かれば明らかに冗談と分かるものが大半です。とはいえ、時事的な話題に対する風刺であったものがアーカイブされることで対象が分かりにくくなったり、ウェブでは検索エンジンや機械翻訳を通じてまるで文脈から切り離されて参照されることもあり、海外のメディアなどではうっかり本当のニュースとして扱われる例もあります。


Facebook によれば、Satire タグは風刺記事とそうでないものを明確に区別して欲しいとの利用者からの要求により実装された機能。「ウソをウソであると見抜けない(略)難しい」といった言葉に代表されるように、メディアリテラシーは読者の側にこそ必要とという意見もありますが、Facebookが提供するニュースフィード機能としては、報道を期待するところに娯楽であるサタイアが入ってくることを望まないユーザーへの利便性向上は理に適った話です。

なお、Facebook は The ONION の記事以外もこのタグの付加対象になるとしているものの、対象媒体の一覧や判断基準などは公開していません。あくまでテスト中の機能であり正式に導入されるかは分かりませんが、オニオンのように媒体の前提そのものが露骨な虚構のニュースパロディによる風刺である場合はともかく、媒体単位で指定できない場合や判定が微妙な場合など、Facebook のタグ付けシステムが問われることになるかもしれません。

[Image credit: Steve Rhodes/Flickr, screenshot from Ars Technica]

ここから本題、最近の The Onion News Network 嘘テクノロジーニュース集。



本文の読み上げ機能に加えて、ユーザーが読んでいる書名と著者名を周囲に大声で繰り返し知的アピールができる Amazon Kindle Flare。本棚に置けば紙の本要らずで知的な蔵書を誇れる本棚モードに。アップルも iPad で対抗。




ユーザーの人生のイベントを振り返るFacebookのタイムラインを発展させて、人生どこで間違ったかを折れ線グラフで伝える LifePoint 機能。他人との比較、企業が落ち目になった瞬間の可視化にも対応。




アップルストアにジーニアスバーならぬフレンドバー開設。ジーニアスが製品の技術的相談を受けるのに対して、フレンドバーはただただアップルについて語りたいアップルファンの相手をしてくれるお友達を予約可能。アップルがいかに優れていてなぜ他社製品はダメなのか、業界事情に対する自分理論など、ひたすら肯定的な相槌を打ちつつ何時間も聞いてくれます。

そのほか、ドライバーを即座に殺害して以降のカーボンフットプリントを最小化する新プリウス、HPが話題の「クラウド」を発売、Googleがユーザーのプライバシーを保護するため、インターネットも電気も通っていない「オプトアウト村」への移住機能を提供などなど。あらゆる会社や製品、風潮がネタになっています。ONN Tech Trendの再生リストはこちら
Facebookが新機能を実験中、虚構風刺ニュースに『Satire』タグを自動付加

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