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 フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」の風刺画が、世界中で議論を起こした。風刺は人々の意識を映し出す鏡。歴史をひもときながら、風刺と社会の関係を改めて考えた。

 フランスの風刺の歴史は長い。フランス革命が起きた1789年に絶対王政時代の虐政を描いた戯画は、手かせ足かせをつけられた国民に、貴族や宗教者が馬乗りになっている。

 教会や教皇はたびたび風刺の対象とされてきた。ただ、「宗教を利用する権力者は批判するが、神やそれに次ぐ存在に風刺は向けられなかった」と風刺画研究家の清水勲さんはいう。イスラム教の預言者を描いたシャルリー・エブドの風刺画は「キリスト教に転じるなら、イエスや聖書を風刺するようなもの」となる。

 清水さんが考える風刺の原則は「風刺は権力に向けること。弱者に向けてはいけない」。もう一つは「庶民の共感を得ること」。

 「市井のイスラム教徒の気持ちを傷つけては、良い風刺とはいえない。イスラム教を利用する権力者やテロリストが題材だったら、受け止められ方は違ったと思う。本当の敵と戦うために、もう少し工夫が必要だったのではないか」