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 イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載した仏週刊新聞「シャルリー・エブド」に、イスラム世界から非難の声が絶えない。預言者の姿を描くことが、なぜ反発を招くのか。国内のイスラム教徒に聞いた。

 金曜日の昼下がり、日本最大のモスクの一つ東京ジャーミイ(東京都渋谷区)には約300人が集っていた。先導者の説教の後、信徒たちは一斉に聖地メッカの方角にお祈りを始めた。

 イスラム教は、仏教、キリスト教と並ぶ世界三大宗教の一つ。寺には仏像、教会なら十字架やイエス像。だが、モスクにはアラーの像もムハンマドの絵もない。壁の装飾文字の一節には「アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」と記され、聖典のコーランは「他のものを神と同等に崇拝してはならない」と偶像崇拝を禁じる。「神の唯一性」がイスラム教の根幹をなす。

 塩尻和子・東京国際大特命教授(イスラム研究)によると、預言者の絵自体は禁じられておらず、歴史書などには顔を白塗りにしたムハンマドの姿が描かれた例もある。だが絵を通じて預言者を神と同等に崇拝することになりかねないとして、一般には描くことも侮辱になるとされてきた。