もうひとつ、"司会者"という話題で触れておきたいのが、「バラエティ部門」で何度となく喝采を浴びたジョン・スチュワートの存在だ。米国のバラエティ
番組は日本ではほとんど放送されることはないので、馴染みは薄いだろうが、米国内では彼を知らない人はいないと言っていい。コメディ・セントラルという
人気局で『THE DAILY SHOW』というニュース風刺コメディ番組で毎日の出来事を笑いに変えてきた有名司会者である。

16年間、出演し続けてきた彼が、今年でこの番組との契約を終了した。受賞の際の彼への熱い称賛は、常に政治的な話題に鋭く迫ってきたその姿勢と、長年
にわたり笑いを提供してくれたことに対する、全テレビ関係者からの敬意と感謝の表れなのである。

米国の夜に各局が競って放送するトーク・バラエティー番組(あるいは風刺ニュース番組)の見事な点は、旬のゲストを短いコーナーで招きはするものの、他
にコメンテーターやアシスタントも並べずに、たった一人の話術で1時間前後の放送時間をこなしていることだ。
番組の冒頭には約10分くらい続く、笑いを随所に散りばめたモノローグ(独り語り)がどの番組にもある。



ちなみに、本年度のバラエティシリーズの脚本賞を『THE DAILY
SHOW』が受賞した際に、いったい何人がステージに上がったか? ジョン自身を入れて、なんと15名!!! 一つのニュース風刺コメディの番組にどれ
だけの脚本家の頭脳を結集しているかがよくわかる。