じぶんの天命は音楽ではない。かわりに人類の最大の発明であるコンピュータの創成期に立ち会う幸運に恵まれた。この世界で、音楽に匹敵する何かを創りあ
げたい。その欲望に苛まされてきた。
そんな彼にとって「口がうまいだけのセールスマン」という風刺画以上に、核心を突いた侮辱はなかった。彼は涙さえ流した。じぶんの作品を完成して、みず
から証明するしか無い。いま手がけているMacintoshを最高の作品に仕上げ、ウォズのApple IIを超えてやる。そう誓ったのである。
その闘志が、若い彼を歪めたのかもしれない。