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欧州に流入する難民急増、難民と移民の違いとは?

  • 13日、ギリシャ東部レスボス島沖合で、赤ん坊を抱えながら岸に向かって泳ぐシリア難民ら(ロイター)
    13日、ギリシャ東部レスボス島沖合で、赤ん坊を抱えながら岸に向かって泳ぐシリア難民ら(ロイター)

 中東やアフリカなどから欧州に流入する難民や不法移民が急増し、大きな問題となっています。密航船転覆事故の犠牲となり、トルコの海岸に遺体で漂着したシリア難民の幼児の写真は、世界に衝撃を与えました。

 難民の急増は、シリア内戦の泥沼化や過激派組織「イスラム国」の台頭などにより、中東・北アフリカの情勢が不安定になったことが原因と考えられています。地中海を渡って欧州に到着した難民や不法移民の総数は、今年8月までに30万人を超え、昨年の約22万人を既に上回っています。欧州連合(EU)は9日、EU加盟国のうち22か国に対し、難民12万人の追加受け入れを義務付ける計画を発表しました。既に合意している4万人と合わせ、2年間で計16万人を受け入れる内容です。ただ、東欧の加盟国は失業増への懸念などから義務化に反対しており、合意できるかは不透明です。

 読者センターへは「日本も難民救済に貢献すべきだ」という意見の一方で、「アジアから日本へ難民が押し寄せる事態になったら、と思うと恐ろしい」という声も。また「『難民』と『移民』の違いは何なのか」との疑問も多く寄せられました。

 これについては、9日付朝刊国際面で詳しく紹介しています。難民とは、難民条約によると「人種、宗教、国籍、政治的意見などの理由で、自国にいると迫害を受けるか、あるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人」を指します。本国に送還されると命の危険にさらされる恐れなどがあるため、難民条約は各国に保護を義務付けているのです。難民として認められると、その国の国民と同等の地位を与えられます。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2014年の世界の難民認定数は1438万人で、前年から23%増えています。一方、移民とは、仕事や教育、よりよい生活環境などを求め、国境を越えて定住する人を指します。自国での迫害があるかどうかが、難民と移民の違いだと言えそうです。

2015年09月17日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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