中国調達:仕事内容もセルで区切って、叱るべきは叱り評価すべきは評価する

コラム2011/10/18(火) 09:03 
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誰も知らない中国調達の現実(177)−岩城真

  しばらくロジカルな話が続いた、たまには感情に訴えるような話も書いてみたい。と言っても、理屈っぽい筆者の書くことなので、結局はロジカルな話になってしまうかもしれないが、しばしおつきあい願いたい。

  震災後数ヶ月たった頃から、にわかに筆者の所属する企業も受注が増加し繁忙を迎えている。それもドカーンといった大型物件が多い。小さな物件の積上げであれば、選別受注といったこともできるが、大型物件ともなれば、そうはいかない。短納期、低採算の物件でも受注しなくてはならない。その皺寄せは、生産現場を襲い、現場は混乱している。低採算であればあるほど、部品の生産は海外に依存することになる。もはや海外生産の部品価格が、完成品価格の原価ベースになってしまっている。

  そういったドタバタの中で、小額のちょっとした部品の納入でトラブってしまったのだ。ものつくりで不必要な部品など存在しない。重要部品という言葉は存在するが、不要部品という言葉はない、ネジひとつ足りなくても組立は完了しない。小額なだけにサプライヤーの営業パーソンも管理が甘かった。コア部品でなく、特殊な部品であったので、製造をサブベンダーに任せていた。中国の製造工場も繁忙の中にあるので、どうしてもコアでない、ボリュームのない部品の製造は、脇に追いやられる。気がついたときには、尻に火が点きかかっていた。

  それでも国慶節休暇前に出荷できるはずだった。ところが品質不良が原因となって、休暇明けに再製作、それも半製品で出荷を余儀なくされるほど、逼迫した事態になった。筆者自身、ほんとうならサプライヤーの製造現場にすっ飛んで行きたいところだが、国慶節休暇直後とあって飛行機は満席。そもそも、その1件だけを追っかけられるほどの余裕もない。連日、サプライヤーの営業パーソンと電話でやりとりする。それも日増しに筆者の声は大きくなる、もともと声の大きい筆者なので、仕舞いには事務所中に響き渡るほどだ。それと言うのも、営業パーソンの動きが今ひとつ良くない。冷静に考えれば、顧客は筆者だけでもなければ、比較的小額のおまけのような部品だ。それでも何とか週末金曜日、半製品ながら出荷に漕ぎつけたかに思えた。

  問題はその後だ。当初から、サプライヤー側は、品質のギャランティを理由に半製品での出荷に難色を示していた。それもあってか、「半製品のまま全数、航空便で送れ!」と指示したにもかかわらず、「半分だけしかサブベンダーから引き取ってこなかった」と夕方に報告してきた。それでは意味がない、ひとつ足りなくても製品は完成しない、半数では必要数に満たない。筆者が「残りは明日必ず送ってくれ」と言うと、営業パーソンは、「土曜日は休みだ」と言う。日本に送られた部品は、加工、組立を休日返上でする工程が組まれている。「ふざけるなぁ!」と怒鳴りつけたい感情をグッと押さえて、「明日安心して休むために、今日もう一度サブベンダーの工場へ引き取りに行って、今日中に発送しろ!」と指示した。

  その晩、遅くなって営業パーソンから指示通り全数出荷した旨の報告の電話が入った。筆者は「ご苦労さん、よく頑張ったね。君の頑張りに感謝するよ。今度、大連に行ったら美味い酒を飲ませるよ、僕には出来ることは、それくらいだからね」と言うと、「仕事ですから……」と短く返してきた。もともと工程管理が悪く納期遅延を引き起し、筆者の指示を無視して勝手に出荷数を減らしたのだから、やって当然、あたりまえだと言ってしまえばそれまでだ。しかし、「工程管理の甘さ」、「指示を無視した勝手な判断」といった事象を、別々のセルだと考えれば、最後の頑張りは、頑張りとして評価する。もちろん、前半のセルは叱責の対象だが、その叱責はすでに済んでいる。

  筆者の対応を甘い、「これだから、連中はつけあがるんだ!」と批判する読者も少なくないだろう。しかし、最後にもう一度叱責を繰り返して良い結果に繋がるだろうか。工程をきちんと管理するようになるだろうか、勝手な判断をしなくなるだろうか。それよりも「頑張り」を評価することでモチベーションをあげることのほうが、トータルとしてよい結果、成果が出せると考えるのは、筆者だけだろうか。(執筆者:岩城真 編集担当:水野陽子)

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